弥太郎鴉

道中双六(どうちゅうすごろく) 江戸振り出しに
日光街道の 杉木立(すぎこだち)
義理もたてたい あの娘(こ)も欲しい
おひけぇなすって
おっと弥太郎(やたろう) 弥太郎鴉
どっちつかずに つまずけば
影も影もやつれる 三度笠

夫婦づれかよ 先ゆくふたり
罪なながめよ おいらには
お湯の鬼怒川 茜のもみじ
おひけぇなすって
おっと弥太郎 弥太郎鴉
江戸に思いの ひとり酒
ほろりほろり涙の 三度笠

わけは聞くなよ あの娘(こ)にゃすまぬ
切れた草鞋(わらじ)に 秋の風
意地の筋立(すじだ)て 器量(きりょう)の錦(にしき)
おひけぇなすって
おっと弥太郎 弥太郎鴉
義理をはたして 帰る日は
縞(しま)の縞(しま)の合羽(かっぱ)に 三度笠
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