春花秋灯

夢てもいいから 逢わせてと
枕をずらして 眠っても
あなたは来ない あなたは来ない 寝ざめの床に
散り敷く梅の 花びらは
恋しさを 哀しさを
包んで香る 忘れ雪

螢が見たいと 言ったのは
二人になりたい 謎でした
灯を消して 灯を消して たしかめ合った
胸から胸へ とんでいた
愛の火が 青い火が
甘懐かしい 螢舟

捨てろと言われて 捨てられる
そんな恋など 恋じゃない
何時迄草(いつまでぐさ)と 何時迄草と 指さされても
叶わぬ恋を 身に刻み
憧れの 真実の
小鈴を鳴らす 軒しのぶ

寝酒を分けあう 友もない
女はひとりで はしご酒
あなたに代る あなたに代る 男のいない
自分の胸の 風穴に
ふりそそぐ 恋雨の
痛みで傾ぐ 時雨傘
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