夏至

かなり前の 自分の中を透かして見た
新しい空気を 吸った僕だ
夢の中で 牙を剥いたあの人の顔 まだ覚えてる

そうだ 思い出した
あの夏に 取り残されて 何年たったか
虫のように強く 果物のように美しい
君がいた 100年前だ

悲しみを含んだ 夏の光
束ねてみたら 光は消えた
今日の空は 鰐の背中みたいだな
やけにさびしい 目の前に1人
灰色のシャツを着て 歩いている カラスが鳴く

そうだ思い出した あの夏に
取り残されて 何年たったか
獣のように繊細で 刃物のように綺麗な
あの人がいた 過去の世界だ 過去の世界だ

あぁ また ここで気づいた
あぁ もう 手遅れだった
やさしすぎる記憶が
こびりついて 離れない 不意に
強くなる風に 苛立ちを感じ
とける壁に 体をあずけ ちへどを吐く
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