序詞

思えばこれまでの人生
海原に浮かぶ一艘の舟
身を粉にし得た対価で
どうにか防ぐ波風

自由を求め自由を恐れ
「いつか」という幻の声
行きたい場所が見つからない
帰りたい場所はあるのに

教えて
嗚呼
教えて
嗚呼

いつのまに削られ
均されてしまった
疑わず限度を
受け入れてしまった
腐敗した世界にも
花は咲くと
握りしめた種
今さら蒔く場所などなく
ただひとり立ち尽くす

答えを求めうつむいた
視界の隅に見慣れた靴
顔上げたその先に
朝日を背にした君

「ただいま」
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