蜃気楼の国

長い坂を降りて
灼けた道のひび割れに
少し空気の抜けた
タイヤが溶ける季節

陽炎を追い越して 夕暮れを通り抜け
藍色と橙の境界を漂う
いつかの願い事 空に消えてく

波打ち際に建てた
砂の城の王様が
誇らしげな顔で
私を見つめている

どこに行っても足りないこと
なんとなく気づいてた
きっと夏休みは続いている
この道の先に

騒ぎ過ぎた夜が
黄金色の床に就き
夏草が揺れてる
燃えるように静かに

陽炎を追い越して 夕暮れを通り抜け
水平線の彼方へ歌声は漂う
いつかの願い事 空に消えてく
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