オヤジおふくろ

期待通りの僕じゃないけど
不器用なりに見守っていくから
大きな背中と優しいその手を
ギュッと掴んで歩いて生きたい
どんな言葉を並べてみても
きっと返しても返せないから
「ありがとう」よりも
「ごめんね」よりも
何度でもオヤジおふくろ

泥だらけになったユニフォーム
朝起きれば綺麗に制服の隣
夕暮れ鳴り響く街のチャイム
台所から聞こえた「おかえり」

気付けば心配される事が嫌になり
ムカついたりシカトしたり
こんなに頑張ってくれたのに
何度泣かせてきたんだろう

当たり前じゃない毎日なのに
当たり前だと勘違いして
ワガママ言ったり口答えばかり
自分勝手に傷つけてきた
だけど諦めずにいてくれた
真正面からぶつかってくれた
あの頃の僕は何も分からずに
強がってばかりいたよね

僕が寝てる時間に帰ってきて
僕が起きた時にはもう家を出てる
テーブルに置かれた飲みかけのコーヒー
玄関に放り投げたあとの靴べら
それと半分も吸ってないタバコが
そのまま寂しげに横たわる灰皿
いつも忙しそうで
また今日も会えないのかな

家族の為に何十年
汚れた作業着でいつも
働いてたその姿と
匂いをずっと覚えてるよ

欲しいとねだった赤いグローブも
枕元にそっと置いてくれた
笑顔の裏で汗を流して
僕との約束守ってくれたね
淋しさ誤魔化し嘘ついたり
隠れて悪さを繰り返した
何の意味もない意地を張ってばかり
本当はちゃんと見ていてくれたのに

楽しみで眠れずにはしゃぎすぎて困らせた遠足
走り回って迷子になって怒られた浜辺
赤トンボ追いかけ泥だらけになった公園
起きて一目散に飛び出し作った雪だるま

どんな季節が巡っても
いつも両手をせがんだ帰り道
あの夕暮れの光のように
これからは2人を
優しく包みたい

期待通りの僕じゃないけど
不器用なりに見守っていくから
大きな背中と優しいその手を
ギュッと掴んで歩いて生きたい
どんなに辛く悲しい事が
続いてもずっと助け合えるよ
2人の笑顔をずっと見ていたいよ
大切なオヤジおふくろ
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