彼女

だいぶ早くなった日暮れ時 前を歩く君の横顔
その幼く変わらない笑顔の向かう先はわたしじゃなくて

何してんだろう…君が遠くなっていく
もどかしくて上手く立ち回れない

ああどうして
また今日も思うように笑えないの
こんなんじゃ仲良く“お友達”も出来ないわ
ああもうどうすればいいの
ずっとずっと傍に居たいけど
分かっているのよ 君はとっくにあの子のもの

昔二人で下った坂道 一人だと急で少し怖くて

あの時間に握った手の温度は憶えているのに
今冷え切った手のひら

ねえどうなの
わたしは君といつか普通になれるの
呆気なく舞い落ちたあの紅い葉のように
心配そうにわたしを見つめないで あっち向いて
分かっているでしょ 君はとっくに彼女のもの

忙しくしていても離れないよ君が
煩わしい生き物ね

ああ気付いてしまったの
彼女、わたしとお揃いなのね
わたしと同じように君を思っているのね
じゃあもうどうしようもないな
そろそろちゃんと普通になんなきゃ
最高にダサくて間抜けな恋の話
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