老婆の約束

待ち続けていた あの寒い夜の中で
あの人はとうとう戻っては来なかった

街角の小さな公園で 今日もまたベンチで佇む老婆
春の気配を風で感じながら あの人のことをまた想い出す

あの頃 あの人はこの町のスターで 誰もが憧れては悲しい涙を呑んだ
あの頃 私はどこにでもいる少女 幼馴染という名の幸せ者

毎日が面白おかしく過ぎていく 春夏秋冬 春夏秋冬と
いつしか二人は気づき始めていた 二人が男と女であることに

そして二人は春に結ばれて どこにでもある幸せを手に入れた
それでも私はあの人のそばで この町一の幸せを感じてた

突然訪れた忘れられない日 たった一通の手紙が着いた
あの人を戦いへと誘う手紙 二人はいつまでも黙ってた

最後に話したのはこの公園で あの人は素敵な約束をくれた
必ず戻るからここで待っててくれ そして最期の愛を交わった

待ち続けていた あの寒い夜の中で
あの人はとうとう戻っては来なかった

あの時授かった命が育ち 寂しい思いも忙しさの中に消え
やっと一人の少女に戻れた今 約束の公園であの人を待つ

待ち続けていた あの寒い夜の中で
あの人がとうとう迎えに来てくれた
迎えに来てくれた
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