千島桜

遥かなシベリアへ 飛び立つ白鳥の
わかれの鳴き声 見送る風蓮湖(ふうれんこ)
千島桜よ 芽吹きは近い
おまえの故郷(ふるさと) 国後(くなしり)に
この手で届けたい 花便り

あの山爺々岳(ちゃちゃだけ)に 帰る日また来ると
苗木につぶやく 親父は空の星
千島桜は 形見になった
いつしか自由に 海を越え
一緒に咲かせたい 夢つぼみ

根雪に埋もれても 運命(さだめ)に堪(た)えながら
いのちの年輪 重ねて生きてきた
千島桜は 明日へのしるべ
広がる希望の 細い枝
沖へと伸びて行け 橋になれ
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