夏の在りか

色褪せたスコアボードと七月の通り雨。
凛とした入道雲はいつもより白かった。

飲み干した水筒、こだました歓声、止まったままの夏の日。
君は今も夢の続き追いかけてる。

あの金網の向こう側に見つけた“夏の在りか”を、
時が過ぎていつの日か“青春”というのならば、
その時 僕らはもう少し大人になれているのかな?
夏空に消えた校歌斉唱、君の名前 呼んでいた。

着崩したユニフォームとつば折りの野球帽。
昏れなずむグラウンドには君の影が見えた。

この夏の日がそっと終わりを告げる頃、
まるで何もなかったかのように僕ら別の道を歩いてゆく。

あの白線の向こう側に失くした“夏の在りか”を、
振り返える時が来ても“青春”といえるのなら、
その時 僕らは何を見つけ 何を探しているのかな?
忘れぬ夏が確かにあったこと、その代わりにこの歌を。

白い制服の眩しさが影を踏むコントラスト。
ノスタルジックに響くブラスバンドの音。
夏の魔法にかけられて大人になってくとしても、
この空に消えた校歌斉唱、忘れない。

あの金網の向こう側に見つけた“夏の在りか”を、
その寂しさも含めて“青春”というのならば、
きらめきの中に隠された青みがかった毎日と、
過ぎ去りし夏の想い出たちは今もここにあるだろう。
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