そして…花送り

陽だまりの 築地塀
爪先立ちの 下駄の音
独り占めした 残り香を
袂に抱いて 閉じ込めた
嗚呼・・心震えて…
風が鳴る 振り向けば 花の嵐
雪送り、花迎え、そして…花送り

花冷えの 築地塀
紅い鼻緒の 緒が切れて
捨てられたのは 雪の夜
雪の化粧に 紅を差す
嗚呼・・心亡くして…
風が鳴る 振り向けば 花の嵐
雪送り、花迎え、そして…花送り

陽だまりの 築地塀
踏みにじられた 名無し草
何時か立たずみ 想い出す
独りよがりの 青春の日々
嗚呼・・陽炎のように…
風が鳴る 振り向けば 花の嵐
雪送り、花迎え、そして…花送り
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