空想飛行

2時間ちょっとのショートフライトで
桜の森の満開の下
眠る間もなく都会から異世界へ
準備忘れたハイヒールのまま

視界は現在良好 時刻通りの到着予定
それでも行き先は雨 二人らしくて可笑しいよね

透明な君の身体 くぐり抜けたら上昇気流
出くわす迷子の感情 つれて彷徨う空想飛行

不確かな雲に隠れてキスして
忘れてくんだ いまどこ だろ
確かめたくて呼んだ君の名は
まどろみにこだましている

単純明快な答えはどうも
感動出来ない 鮮やかすぎて
離陸するときの不安にまざる
切なさぐらいがちょうどいいから

噛み砕くことも出来ない いつまでも味のする飴
もう飽きて次に行きたい はやく大人になりたいのに
透明な君の身体 くぐり抜ける度思い出す
幼い頃の記憶は まるで儚い空想飛行

不確かな雲に抱かれてキスして
うすまる空気 気が遠くなる
確かめたくて目を開けたらもう
真っ暗闇に星が光る

不確かでもいいよ もう一度キスして
忘れちゃったんだ いまどこ だろ
×