もどり橋

二度とこの道は 通るつもりはなかったけど
今朝届いた黒縁の葉書
君が嫁ぐ日に くれたあの電話
ありがとう 幸せになるわ
どうして言えなかった
幸せに出来るのは 僕だけだと
今までこれほど 心が痛むのなら
貴女の気持を もう少しわかっていたら

着物の好きな人だった 爪も染めない人だった
そばにいるだけで それだけでよかった
いつも帰り道 この橋のたもとまで
二人でつけた「もどり橋」まで
もう逢えなくなりそうで
さよならの言葉は 嫌いだって
そういえば最後の夜 君の唇がかすかに動いた
どうしてひきとめて 強く抱いてあげなかったのか
どうしてひきとめて 強く抱いてあげなかったのか
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