座頭市の唄

「手前のことを言うのは嫌でございますけどネ、
私は座頭という名前の通り、五年前までは、笛を吹いて
町を流していた按摩でさぁ
眼が見えねえばっかりに、ずいぶんいじめられもしました。
悔りもうけました。泣きはしないが、くやしかったね。
今に見ていろ眼あきの野郎ども、そう思っていじりはじめたのがこいつだ。
眼くらはね、針の修行をつんでも検校という高い位に昇れるんだ。
又、琴・三絃の師匠にもなれる。だが、そんなことは俺の性には
合わねえし、又、眼あきどもが眼玉ひんむいて驚くほどの事じゃねえやな。
そうでございましょう。皆さん方も立派な眼あきだが、
こんな事出来るかい」

およしなさいよ 無駄なこと 言って聞かせて
そのあとに 音と匂いの 流れ斬り
肩も寂しい 肩も寂しい……
「いやな渡世だなあ」

親のある奴 どきやがれ いやだいやだと
よけながら 涙忍んで さかさ斬り
何処へ行くのか 何処へいくのか……
「もう眼があきてえなあ」
×