ぬけがらの詩

僕は以前そこにあった時の事を
いつも考えていた
いつのまにか自分自身のぬけがらを
眺める職業についていた

生きているという事は
生きていないという事より意味がある
そこに在る事は
無い事より 価値があると言える根拠を
僕は「惰性」という言葉 以外の理由で知りたかった

お母さんが帰ってこない夕方のことを
最終電車が行ってしまったホームのことを
足りないという事は
満ち足りた状態を夢見る所から 生まれてくる

ポケットにあるものは役に立たないものばっかだけど
あの窓際に咲いた名もない花の匂いを
思い出せたなら いいのにな

あの日からの ぬけがらが
妙に奇麗に見えるから
僕はそこにいもしない自分を
遠くからみている
ぬけがらは亡きがらではないから
どこか違う場所にいるのかな?
言葉やメロディはそれ故に
蝶のように 空を羽ばたく夢を見る

死んでしまったミュージシャンの歌声だけが
なんだか胸に響いて
壊れてしまったイヤフォンに
ずっと気づけずにいたんだ

大丈夫ですか 大丈夫ですか 聞こえてますか?
大丈夫ですか 大丈夫ですか 届いてますか?
道端に捨てられているだけの 空き缶みたいな日々を
嫌いになれたならいいのにな

あの日決めた約束が
今も胸に残るから
僕はずっと来もしない未来を
遠くからみている
また明日ねが さよならになるから
僕はまたわからなくなってしまう
憎しみも悲しみもそれ故に
蝶のように 空を羽ばたく夢を見る

あの日からの ぬけがらが
妙に奇麗に見えるから
僕はそこにいもしない自分を
遠くからみている
ぬけがらは亡きがらではないから
どこか違う場所にいるのかな?
言葉やメロディはそれ故に
蝶のように 空を羽ばたく夢を見る
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