束縛

君は戦わなくていい ただ僕の背中に隠れていてくれ
君は何も見なくていい ただその目をきつく閉じていてくれ

すべての痛みは 僕が引き受けた
花の上に横たわる無防備な君を守る 守り続ける

君は僕だけのお姫様 孤独が嘘をつく森の中
僕の腕の中で眠り続けることだけが君の存在価値だと
思い知れよお姫様 従順なほどに美しい
僕らの物語には結末なんて必要無い

君は何も言わなくていい その美貌に言葉などは似合わない
君は何も知らなくていい ただ溢れんばかりの無垢でいてくれ

数えきれぬ銃弾も幾千の兵士も この愛の下にはかすり傷
どんな痛みも 君を守る為なら 優しく肌を掠める風に等しい
誰にも触れられぬ君に 僕だけが触れる
不確かなモノのすべてを確信してる

敵はもういない 血まみれの右手で 君の美しい髪を撫でる
白い肌 微かな寝息 僕は何も怖くないよ
君はこのまま眠り続ける 僕の所有物

長いまつげが揺れる 細い指が震える 今君が静かに目を覚ます

僕の手を払うお姫様 ドレスをなびかせ遠ざかる
まるで悪の手から逃げ出す悲劇のヒロインみたいにさ
戻って来てくれよお姫様 息絶えても気付かない程
きつく抱き締めたい 叶わぬなら息の根を止めたい

君は僕だけのお姫様 孤独が嘘をつく森の中
眠っていたのは君の方なのに 夢を見てたのは僕だった
もうここにいないお姫様 君を所有しない僕にはもう
存在価値が無い 守るべきものが無い
僕の物語に結末なんて必要無いのに
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