なでしこの花

秋の七草 恋のこわさも知らないで
萩の花 尾(を)花 葛(くず)花 なでしこの花
をみなへし、また藤袴(ふじばかま)、朝顔の花
そのなかから、なでしこの花
父はえらんで
旅先から母に送ったのよ、押し花にして
こころしのばせ……。

秋の七草 染めた小袖に匂い袋
憧れの夢に酔いたい、恋してみたい
いつのまにふと夢見ている、まだ見ぬひとを
あの家持(やかもち)も、なでしこの花
愛するひとになぞらえたの、
いのち美しい日 万葉の歌 いまも 聞こえる
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