夕焼けリンゴ

低い山を背にした 無人の駅で
同じ人を愛した わたしとあの娘
ひとつしかないリンゴ ふたりで食べた
ひとくち交代に ただうつむいて

ああ ことばは風にとぎれる
割れるような 夕焼けの中で

淋しいね どうしても ひとりの人の
心はふたつに わけられない

一時間に一度の 列車がついて
降りる人もなく また出て行く
時のすきまの駅で リンゴをかじる
少女の横顔 みつめていた

ねえ このまま 旅をしたいね
つらいきょうを ポケットにおしこんで

わかってる夢だって リンゴのようには
心はふたつに わけられない
(いつか 風がやんだ)

もう これきり会わない
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