おんな夢

忘れることが できない人は
きっとわたしを 忘れているわ
妻という名の まぼろしも
こころ変わりの 哀しい嘘も
みんな涙が 洗ってくれた
追えば追うほど 逃げてく おんな夢

いつかあなたと 旅した宿は
夫婦(めおと)湯呑みと 揃いのユカタ
蒲団ふたつを 寄せ合って
こころふたつを ひとつに重ね
夢を見ました 同(おんな)じ夢を
浮かぶ面影 せつない おんな夢

淋しさばかり 数えるクセは
今夜限りで もうやめましょう
朝が来たなら 想い出も
風にまかせる 木の葉の舟で
裏のせせらぎ 流して捨てる
未練断ち切る 旅路の おんな夢
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