次郎吉笠

道は木枯らし 北山下ろし
冬が落ち目の 肩に来る
心細いぞ 甲州街道の日の暗さ
江戸を追われて 十三里

娑婆(しゃば)の灯りにゃ 未練はないが
親が恋しい 恥ずかしさ
鼠小僧が 年貢納めの潮時は
一目親父に 会えるとき

藁の上から 他人の膝で
生きて流れた 親不知
行けばご用の 風が飛ぶとは知りながら
止めて止まらぬ 破れ笠
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