雪を聴く夜

遠くへ とおくへ 流るる 雲よ
離れて ゆくのは 貴方か 私か

黒く 果てしなく 長い夜
二度と 明けぬ様に

夜空を仰げば幻
他愛ない最後の
別れの言葉を悔いている
雪が降る夜に

銀色 星月(ほしつき) 凍えた 木々よ
待人 幾年(いくとせ) 望めば 此処に

風が 吹きすさぶ 寒空に
愛は 枯れるままに

涙を拭った袖口
健気に祈っても
無駄だと知りつつ繰り返す
雪が降る夜に

別れがいつも 惜しくとも
見せずただ人は 去る

夜空を仰げば幻
他愛ない最後の
別れの言葉を悔いている
雪が降る夜に

想いを潜めた夜更けに
世界も黙って
地に落つ雪の音(ね)さえ響く
一人眠れずに
雪を聴いている
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