夢二の宿

枕灯りに 映るのは
ひとり寝化粧 影姿
いで湯の宿で 未練を流し
出直すはずの 旅なのに
夢二が描いた 絵のように
細いうなじが 恋しがる

雪見障子を ふるわせて
夜行列車が 遠ざかる
椿の花が ぽとりと落ちる
きれいに命 散らせたら
夢二の愛の はかなさに
春が見えない かくれ宿

夢二が描いた 絵のように
細いうなじが 恋しがる
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