吟遊百景

墨を流した絵のような
景色の中に佇めば
銀の屏風と詠われし
雪を抱いた山々よ

春は菜の花 桃の花
少し遅れて 桜花
筑摩の杜の夕まぐれ
旅情いや増す刻の鐘

烏の城と 人が言う
古城に立てば偲ばるる
昔人の夢のあと
空に広がる天の川

月を浮かべて 流れゆく
瀬音のどけき 女鳥羽川
遠き山間 駆け下りて
明日は届くか日本海

昔大名 今大手
歴史を語る 蔵の町
袖すり合わす人のいる
秋の風立つ 信州路 信州路

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