小鳥殺人事件

鳥を踏んだ日には 母は眠っていた
鳥を踏んだ日には 兄は汽車に乗って
鳥を踏んだ日から 少女は声がでなくなってしまった

夢を見ないようになり
やがて目が見えぬようになり
手足の感覚がなくなり
少女は耳しか聞こえない
鳥の羽ばたく音だけが木霊する

少女は暗闇に見た
小鳥が手に乗る時の温度
愛していたのに誤って殺めた
声が出ないのはそのせいか

夢を見ないようになり
やがて目が見えぬようになり
手足の感覚がなくなり
少女は耳しか聞こえない
鳥の羽ばたく音だけが木霊する

少女は暗闇に見た
小鳥が手に乗る時の温度
愛していたのに誤って殺めた
声が出ないのはそのせいか

可愛い小鳥
愛する小鳥
私の小鳥

愛していたものを
誤って殺めた
鳥を踏んだ日から 少女は ああ……

愛を! 愛を! 鳥よ! 愛を! 愛を! 愛を! 鳥よ!
愛を! 愛を! 愛を! 鳥よ! 愛を! 愛を! 愛を! 鳥よ!

少女は砂漠を思う
ラクダに踏んでもらえますように
大きな海に溺れたい
クジラよ私を飲んでおくれ
でも鳥の羽ばたく音が木霊する

少女は暗闇に見た
小鳥が手に乗る時の温度
愛していたのに誤って殺めた
声が出ないのはそのせいだ
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