夏の手紙

いつまでも いつまでも座り込んで
川せみを静かに聞いてました

小石拾い上げて 投げたら思いもかけず
大きな音しました

襟あしが 夏の匂いに小さく
漂って そして脈うつのです

無言の時計と 暗くなるのを待つのです
その全ては はかないです

あれから一年が過ぎ どうやら一人きりです
愛していたのかしらと 愛しすぎたかしらと
胸の中にしまってた 宛名のない手紙を
河の流れよ 今は受け取って下さい

夕映えが 熱いからだをそのまま
河の中に 投げ出して冷やして

一人づくしの夏 思いもかけず横顔を
ふいに見せに来るのです

あれから冬が過ぎ去り そして春を越えました
愛していたのだろうと 愛は流れていくと
夏の手紙に託して 振り返ることもせずに
河は何も知らずに 乗せて行くようです
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