メルヘン

橋の欄干に引っ掛かった月
竦然として構える明かりを
怠惰を照らす 鈍く悍ましく
メルヘンは遠く山へ帰って行く

しがない暮らしに光をくれた
儚い夢の残り香だけが
謎めく世界の片隅
次の支配を求めて飛んで行く

片目を瞑って振り向いた
辛い日もふざけながら
雨上がりの眩しい道
瞼の上から染み込んできた
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