ほたる草

この手に抱けば 折れそうな
ほそい体の やつだった
指もふれずに 別れて来たと
言っても世間は 信じない
あゝほたる草 ほたる草
旅路のはての あぜ道で
おまえの面影 見る俺さ

あの水色の 静けさが
好きと言ってた いじらしさ
汚れひとつも 知らないおまえ
なんで出来よう 道づれに
あゝほたる草 ほたる草
さすらう俺を 慰めて
つぼみを開いて くれたのか

都をすてた 俺だけが
知っているのさ 純な恋
春を背にして 乗りつぐ汽車に
きょうも夕陽が 燃えつきる
あゝほたる草 ほたる草
旅路の宿の ひとり寝は
おまえを夢見て 寒かろう
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