君という仮説

駆けていく。駆けている。欠けたもの探して。
瞳閉じれば、それは視える。
ここにはないものと解(わか)っていて、
君たちはそれでも走るんだね。

泣いては、泣いては、泣き尽くそう。
ぼやけたその視界に、ほら、映(うつ)るだろう。
それは「ゆめ」や「希望」と呼ばれるものの輪郭だよ。

まちがって、傷ついて、失敗して幾(いく)星霜(せいそう)。
そうやって、君という仮説をみせてよ。

君という仮説。今、立てろ。
誰にも共感されずとも。
君という伝説。今、鳴らせ。
ずっと世界は待っていた。

君という仮説。今、立てろ。
誰にも共感されずとも。
君という伝説。今、鳴らせ。
ずっと世界は待っていた。

追いかける。追い越す。「何か」求め。
耳塞げば、それは聴ける。
かたちのないものと解っていて、
君たちは手を伸ばし続けるんだね。

叫んで、叫んで、叫んでいいよ。
嗄(か)れてしまった喉に、ほら、言いたいこと。
それは「君のきもち」と呼ぶべきものの原形なんだろう。

思い通りじゃないこの不条理、受け入れてみたなら、
なぜか眩しく、いとしく、やさしく感じるんだ。
見上げたこの空。

まちがって、傷ついて、失敗して幾星霜。
そうやって、君という仮説をみせてよ。

共感されずとも。
ずっと世界は待っていたんだ。

みせてよ。君という仮説。
みせてよ。君という伝説。

最も知りたい正解がすぐ導き出せるわけがないだろう。
仮でもいい。君はもう既に奇跡的存在。

ごらん。風が海が大地が月が星が宙(そら)が、
ほら慶(よろこ)んでいるよ。君のことを。

君という仮説。今、立てろ。
誰にも共感されずとも。
君という伝説。今、鳴らせ。
ずっと世界は待っていた。
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