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靴の詩

 
よく磨かれた黒い靴がアクセルを踏む
街は五月雨 午前1時

森の入り口にある細い階段を昇る
ドアが開いたら 急いで抱擁

押し殺した話し声が甘いポルカに変わる頃
脱ぎ捨てられたその靴は
編み上げのサンダルに寄り添って
しばし うたた寝

やがて悦びの長いコルネットが鳴り終わる
ふいに紐を結ばれて 靴は目を覚ます
ドアが開くまで もう一度抱擁

押し殺したおやすみのキスがため息に変わる頃
ただひた走る街へ伸びてく道が
見上げるパノラマは 朝の直前

押し殺したおやすみのキスが痛いほどにやさしいから
振り返り 立ち止まり
ああ 濡らされてゆく爪先

押し殺したおやすみのキスが夢に遊ぶ頃
また脱ぎ捨てられたその靴は
しかるべき7階のその場所で
しばし 放心

そして朝の始まり