口約束

雪の野に月の絵筆が
あなたの列車を描き出す
白い窓ひとすじ拭けば
氷った涙が見えますか
「何も言うなよ」…そう呟いて
粉雪降りつむ私の肩に
青いブレザー投げたあなた
涙が千切れる 吐息が千切れる
だけど切れないものがある
二人の熱い血が結ぶ糸 これが愛ね

町へゆき居場所決めたら
必ずお前を呼ぶという
守れない口約束と
知ってる心がうなずくわ
「何も言うなよ」…そうてれながら
まぶたをこすって苦笑いする
男泣きっていいわあなた
指切りほどける 言葉がほどける
だけどほどけぬものがある
瞳と瞳を外(そ)らさずにつなぐ糸 これが愛ね

動き出す車輪の火花
硝子にすがって追う私
「何も言うなよ」…それが口癖
汚れた雪へと転ぶ私を
心配顔で振り向くあなた
季節が途切れる 夢さえ終わるわ
だけどはじまるものがある
心で廻り出す糸車 これが愛ね
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