老兵

戦友達よ聞こえるだろうとゞろく進軍の足音が
あれは吾等老兵たちが生きていた頃の
ほこらしいクツ音だ
今 俺達が住んでいるこの国には
おそろしい夜もなければ戦いもないが
もうここには愛する妻も
小さな口づけをしてくれる
可愛いい我が子もいない
吾ら老兵たちは話しあった
そうだ今夜あのなつかしいパリえ行こう
遠い昔、祖国をたった日のように
クツ音をひびかせながらシャンゼリゼえ
姿なき整列をしよう

我等は老兵重いクツもはかず
あの世でさびしく暇な時をすごす
我等は老兵タイコたゝきながら
こよいは行こう あのシャンゼリゼをめざし
あまたの戦さの庭の いさましい戦いは
そうだよ むだじゃない
ごらんよあの街の名を
そこにはいさましい俺達の名が残る

我等は老兵重いクツもはかず
あの世でさびしく暇な時をすごす

我等は老兵遠い国のはてに
出かけてそのまゝ誰れも帰らぬパリ
おれたちの哀れな愛もやがてはうすれゆく
さよなら ありがとう
さあ夜明けのこぬうちに ドラムをひびかせて
広場へ出かけよう

我等は老兵 戦の時がすぎて
今では人からみな忘れられた
けれどもこよいは 皆なで俺達ごらん
てっぽうも持たずに
我等はゆくシャンゼリゼ
足なみそろえ ア・パリ・ア・パリ
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