岩漿

私が 私と 思っている 私とは
異なる 私が 間違いなく 存在する
私が 知ってる 私はただ 海の上に
浮かんだ 氷山 一角だけ ほんの一部
私の 知らない 何倍もの 固まりが
ひっそり 隠れて 水面下に 存在する
いやいや 氷は 喩えとして 正しくない
地中に 燃え立ち 燃え続ける マグマだろう

マグマが動いて 人に 惹かれ始め
マグマの指令で 人に 逢おうとする

私が 私と 思っている 私には
私の 胃と腸 心臓さえ 動かせない
私の 命の 維持存続 その大事に
知性も 理性も 関わるのは ほんの一部
意識の 制御の 及ばぬもの マグマの技
私の 知らない そのマグマも 私自身
欲望 情念 衝動など 胸底から
休まず 私を 突き動かす マグマの熱

マグマが動いて 人に 惹かれ始め
マグマの指令で 人に 逢おうとする

始めに理由や 訳が 有るのではなく
そもそも理性や 意思の 働きでなく
どうしようもなく 人が 恋しくなり
マグマの力で 人を 愛し始める
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