カナリア

胡乱にくすんだ鳥籠の中
飛ぶ事を忘れたピンクのカナリア
古びた扉の錆び付いた鍵
砕いて溶かして開けば
月明かり微かに 赤い爪照らした
踏み出せば容易く崩れるペルソナ
開かれた世界は
吐き気がするほど美しかった
この光の下暴かれた黒い翼
笑ってそっと広げたなら
いま 走り出した焦燥は叫びとなり
答えをきっと導くだろう
足元 散らばるパステルの羽
渇きが殺した幻想
ただそこに転がる この性と屍
迷いは影となり姿を象る
モノクロの願いが
心地良く体を包むのなら
偽りの果て崩れ落ちた 空見上げて
君が放ったその言葉を
いま 響き渡る雷鳴が鼓動となり
彼方へきっと届けるだろう
やがて訪れる静寂に怯えながら
それでもきっと歌うのだろう
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