軽く一杯

飲酒運転は絶対駄目だと言う彼とだから店はいつも近場の限られた何軒か
高すぎず安すぎず飾らぬ酒を交わしながら良く味の染みた土手焼きをつまむ

実に彼と会うのは3年以上ぶりだというのに
少し素っ気なく 時には程よく温かい

兄貴と呼ぶようになったのは彼が僕の同級生の実のお兄さんだからだっけな

久しぶりに帰ったから 軽く一杯呑もう
明日もあるから今夜は 軽く一杯呑もう

腹はそんなに減ってはいないからとチビチビ呑んでは注文繰り返し
気がつけばテーブルの上に何皿もの
食べかけの肴が溢れているのもいつもの事だった

最近どうだ?と尋ねる事がなくても
ここ数年に起こった事を少しずつ

話している彼の澄んだ目より僕は無償に何度も話した
同じ昔話を今夜も肴にしたい気分だった

久しぶりに帰ったから 軽く一杯呑もう
明日もあるから今夜は 軽く一杯呑もう

東京に魂を売ったなとおもしろ半分に茶化した
お決まりの言葉も今となれば随分昔の話だな

呑んベぇな2人はいつからか健康話で盛り上がる
少しはおっさんになってきたってことなのかな

久しぶりに帰ったから 軽く一杯呑もう
明日もあるから今夜は 軽く一杯呑もう
久しぶりに帰ったから 軽く一杯呑もう
また帰るから今夜は 軽く一杯呑もう
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