ナイフ

ナイフを持って人ごみで ひとりぽっち夢を見る
みんなが僕を睨むから 見上げてしまった
青く澄んだ空をさぁ 切り裂いて

わけもわからずに書き続けた
二十数年の物語が
音もなく崩れてゆく時の
あんな感覚におびえてる

バイトは先週クビになって
彼女はもうきっと帰らなくて
狭かった6畳のこの部屋が
寂しさと一緒に広がった

読み返したって退屈な話
ひきちぎるページも空白で

ナイフを持って人ごみで ひとりぽっち夢を見る
みんなが僕を睨むから 見上げてしまったんだ
ナイフを持って陽を浴びて 映し出した空は青
雲が流れ風がそよいで ナイフよ光れ
無様なこの世界をさぁ

綺麗な空 笑う声
いらいらすんだ
すべて切り裂いて
痛々しくて恥ずかしいなんて
今は何も感じないから

ナイフを持って眺めてた そこに映ったひどい顔
苦しみより悲しみだった 涙も出ないほど

ナイフを持って人ごみで ひとりぽっち夢を見る
誰も僕を見てなくって 見上げてしまったんだ
ナイフを背に隠し持って 僕らはみんな夢を見て
雲が流れ風がそよいで ナイフよ光れ
無様なこの僕をさぁ 切り裂いて
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