六等星の灯

眠たい目をこすって生まれた僕等はプラチナの指輪のオマケみたいだ
付属品の僕と付属品の君が彷徨うちっぽけなサイドストーリー

オリオン座が見下ろす廃れた街の隅で
アスファルトに投げつけた抱えた希望 過去の失望
砕け散る日々が煌めく それが乱反射して眩しさに泣いた
仰いだ空 誰も知らない星を探したよ

与えられたストーリー 演じ切ったとしたら
エンドロール 僕等は笑えるだろうか
ひとつだけの地球に70億の意識が溢れて溺れそうだ

耳を澄まし 目を凝らし そこらじゅうあさって
ここに居る理由や意味を探し回った
誰もが個々の意識の檻の中
時計を抱いて歳を取って終わっていくのに
価値や意味を求めた 椅子を奪い合う様に
いつからか僕等もまた ナイフを握って震えていた
「奪いたくなんてないのに」
ひとつずつ椅子は埋まってこれが最後か
泣き喚いた 白い手がナイフを突き出していた

縋りついたストーリー 夢見ていたヒーロー
そんな役は僕には与えられなかった
忘れられないように 記憶の行間で僕は叫ぶよ

酒臭い終電の車内 迎えの無いロータリー前
行き交う雑踏の中 液晶パネルの向こう
居場所を探し続ける
笑う 君 確かに煌めく
続いていく まだ行けるか? 青い地平線の上

せめてこの唄が鼓膜を揺らしたら
僕等の居場所は照らされるだろうか

守り抜いたストーリー どこまで届くかな
綺麗じゃなくたっていい ここに在る証明
広すぎる空でちっぽけな僕等の灯がかき消されないように
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