愛鍵

いつか幸せを通り過ぎていた
今じゃ戻れずに 戻ろうとせずに
雨が降るような予感がしたのは
君がいつもより余所見をするから

ふたりを抜ける 4月の風は
染まらずに 心をなびかせ
果てしなく無色で透明

合鍵の使えない借り物の扉
心の隙間に知らない声が響いた
どの幸せも思い出も剥がれ落ちていく
愛する気持ちまで鍵をかけたのは

君なの?

確かめた指の温かさ
嘘とすり替わっていく

失うなら持たないほうが
傷つくなら見えないほうが
幸せなんて知らないほうが
心の奥底にこの鍵を捨てた

さよならは言わないよ
その前に君のこと 忘れてしまうから

失くしては 失くし続けて
最初から何ひとつ 拾えていないみたい

もう合鍵の使えないふたりの未来と
大事にするほど離れる指と足跡
どの幸せも思い出も剥がれ落ちていく
愛する気持ちまで鍵をかけたのは

君なの?
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