おぼろ橋から

生れも育ちも暗がりで………。
いゝ思い出など一つもないって言うのに、十三か十四か………。
そんな年頃のあたいが見える日もあるんですよ。

フランス山は うすずみ色で
行ったり来たりのくらい橋
からめた指を噛みあって
したたる したたる いたみに泣いた
あの日の二人はどこへ行った
見えているのかいないのか
おぼろ おぼろ おぼろ………
おぼろ橋

小舟があれば 果てない海へ
帰らぬつもりで出て行った
どこへも行けず抱きあって
ぬくもる ぬくもる 想いに泣いた
おさない二人はどこへ行った
見えているのかいないのか
おぼろ おぼろ おぼろ………
おぼろ橋
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