最後のチョコレート

息も詰まる会議室を抜けて
屋上のドアを開けたら広がる
ビルの群れ
人気のないベンチに委ねたら
ポケットの中に忍ばせたチョコレート
ひとかじり

毎日が夢のようだった
君といたあの季節
今はなんだか虚しくて
幻のよう

風が流れてる
雲ひとつない 空の下
君はどこにもいない
きっと君だけがぼくのすべて
心の中 かすかに揺れる
何度も何度も

落ち込んだ時いつも君がくれた
冗談みたいに袋いっぱい詰めたチョコレート
ひとかじり

ありがとう 君に出逢えて
溶け始めた想い出は
甘くほろ苦い

時が流れてく あとひとつぶ
食べようかな まだやめとこうかな
今も張り付いて 離れない
心の中 くしゃくしゃ 銀紙

ずっと ずっと
何も変わらないこの想い
色褪せてしまわぬように
包みこむ

チョコレート
最後のひとつ 少しかじり
手を止める
すぐなくならないように
君が身体中 溢れてくるよ
甘く切なく
何度も何度も
噛み締めている

何度も何度も
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