一輪ざし

やせたおまえの 肩先に
身の上話が 書いてある
何も聞かずに 私を抱いて
一輪ざしの 花のように
身を切るような 浮世の風も
あなたがいれば 暖かい

ふたり暮らせる この町が
私にしてみりゃ 都です
酒場小路を 花道にして
手さぐりながら 夢をみる
この手に余る しあわせなんか
欲しくはないわ この先も

橋のたもとの 友禅流し
一輪ざしの はなみずき
日向(ひなた)のような あなたの胸に
私の帰る ふるさとよ
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