男哭き

思い出に したくはなくて
故郷(ふるさと)へ 時には帰る
ひとり またひとり
昔なじみが 少なくなって
おふくろもおやじも
海を見おろす 墓石(いし)の下
冬は波が哭く 春は花が哭く

思い出に なりたくなくて
故郷に 別れを告げる
来るよ 又来るよ
そう言い乍(なが)ら ふり向くけれど
お祭りの笛すら
何もきこえず 波ばかり
夏は風が哭く 秋は山が哭く

故郷は この町
ここに住めない 人生よ
俺はどこへゆく 俺はどこで哭く
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