冬の螢

冬の風に咲く花びら あなたにあげるわ
別れの思い出に 祈りをこめて
冬の朝に生まれた人は 冬を愛しつづけ
哀しみのその数だけ 人を愛せるわ

ふきやむな冬の風よ 季節がかわっても
冬の螢のように はるかかなたへと
とんでゆけ

太陽が空に沈むときあんなに赤くて美しいのは
太陽がさよならを言っているからだって
誰かが言ったわ
今 私があなたにさよならを言っても
空は赤く染まってはくれないけれど
出来ることなら空いっぱいに
花火を打上げてあなたに贈りたい
思い出のひとつひとつに火をつけて
冬の空いっぱいに花火を打上げて
あなたに贈りたい
それが私のさよなら
それがあなたへのさよなら

冬の風に飛び立つ鳥は 冷たさを愛し
ふきつける嵐の中へ 身を躍らせる
旅立つあなたの胸に今 火をともして
哀しみのその数だけ 燃やしてほしい

ふきやむな冬の風よ 季節がかわっても
冬の螢のように はるかかなたへと
とんでゆけ
×