松島情話

桜のつぼみが 残雪の
風吹く港に 春を呼ぶ
あなた探して せつなく燃える
夢追い人か
雨の松島 波止場にひとり
今日も逢えずに 涙をそっと
湾(うみ)に流せば ああ… 照らす月

人眼を避けて あなたと二人
くちびる重ねた 隠れ宿
濡れた黒髪 掻き上げながら
あなたを待てば
すすり泣くよな 遠くの鐘を
聞けばなおさら 恋しさつのる
あなたが欲しい ああ… しぐれ宿

女の未練を 振り切るように
港を離れる 船が出る
恋を引き摺り おんなが一人
さすらい人か
風の雄島を 夕陽が染める
そぞろ歩けば 千鳥も鳴いて
今日もあてない ああ… ひとり旅
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