ナイトミュージアム

なんだって色を重ねて
何の絵だろうとよくて
誰に理解を求めるものでもなく

彼はひたすらに絵を
塗り進めているけど
すこしだけ不安になるの

それはきっと入り口
彼の世界への扉
深まれば見失ってしまいそう

揺さぶられるまま
音を放つように

さざ波が色を変えながら
静かに余白を染めてゆく
彷徨うことに疲れた
宇宙への信号のように

抱き締めることもできなくて
ただ黙って見つめてるけど
孤独に彼が飽きたら
寄り掛かる夜空になるわ

いつだって暇つぶしの
替わりを探している
緩んだ瞼はそう 仮の姿

釘付けにされている
その引力どうかしてる
抜け出し方知らない

彼の絵の具を借りて
同じ筆を使って
真似事をやってみたら解りそう
胸で熱いものが脈を打つ理由が

当ても無く描き進められた
虹もかすむその色彩に
どんな歌が似合うでしょう
探しながら此処にいたい

膨らむ世界の両腕に
しだいに身体を包まれて
優しく微笑む彼と
指を組んで佇んでた

遠く滲む星の狭間
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