冬の蜂

あなたを刺して死んでやるわと
泣いた夜もある
他の男に抱かれてやると
家を飛び出た日もあった
あれは昔の幻(ゆめ)ですか
熱い情念(おもい)を胸に秘め
指を噛むわたしは冬の蜂

あなたのことしか愛せないから
いつも側にいた
気絶するほど薔薇の香りを
むさぼりながら甘えてた
あれは返らぬ嘘ですか
ぼたぼた雪の屋根裏で
春を待つわたしは冬の蜂

あれは昔の幻(ゆめ)ですか
熱い情念(おもい)を胸に秘め
あなたを待つわたしは冬の蜂
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