斑鳩の鐘

黄昏色に染めあげて
秋が大和路変えるころ
ひとり旅する女が女がいます
静寂(しずか)に眠る秋篠で
あのひと好きと泣きじゃくる
つのる想いの 露時雨(つゆしぐれ)

悲しく響く鐘の音
恋歌(うた)がきらめく万葉の
涙堪(こら)えて見上げる見上げる空に
囁きながら飛ぶ鳥が
あの人好きと鳴く枝に
雪がほんのり 薄化粧

飛火野(とびひの)ゆけばなごり雪
春が大和路変えるころ
ひとり旅する女が女がいます
せつなさ忍び咲く桜(はな)よ
あのひとここで会えるよな
そんな気がする 古都の暮れ
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