恋枕

あなたが居たから 抱きしめられて
寒くはなかった 凍(しば)れ雪
この指が この胸が
いまも添い寝を 恋しがる
二年まえには もどれないけれど
ふたりの一(ひ)と夜が ほしいのよ

ふらりとそこまで 出かけてくると
手紙に残して それっきり
悪いのは わたしです
つくしたりない ばかでした
二年まえには もどれないけれど
グラスを並べて しのび酒

早咲き水仙 束ねて挿(さ)せば
待ち人かならず 来るという
からっぽの 部屋中を
花で埋(うず)めて 手を合わす
二年まえには もどれないけれど
こころにふたつの 恋枕
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