十二月

息を吸えば 肺が凍りそう
透き通るガラスの にぎやかな街
頭のなかに ささくれた優しい
ハーモニカ聞こえて 道路をわたるよ

覚えているわ 写真にはうつらない
かけおりた階段 西陽のカレーライス
あのとき 何を話したんだろうね
今はきっと誰にも わからないでしょう

テレパシーはもう たしかめるすべも消えてしまった

ねぇ どうして 変わってゆくの?
どれだけ考えても わからないの
もうぎゅっと抱きしめても
すり抜けてゆく 十二月

夜を横切る 急行は雨
流れてく点線 降りてゆく人
あのとき 書いた 歌だけが なぜかしら
あざやかで うつむいて しまうのです

そうねきっと 私はあなたで あなたは私だったね

ねぇ どうして 変わってゆくの?
少しだけ笑って 手をはなした
もうきっとかえらないと
言えないけれど わかっていたの

きらめく街の流れ
そのどこかでそっと 立ちどまっても
どうしようもなく すべては
過ぎ去ってゆく 十二月
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