ダージリン

ある朝 天気雨 まぼろしに過ぎて
風は十月の絵の具を たっぷり含んだ 絵ふでね

一幕のお芝居 わたしはいるみたい
あなたの部屋 きっとまだ
カーテン閉めたままで

つぎのシーン 台詞は
「さよなら」
どうしてだろう 言えそうもないのにね
あの日のハートは 三拍子
枯れ葉がスローモーションで 降った

窓ぎわに ダージリン
向かい側の椅子を ながめてた

「さよなら」
つぶやいてみた
坂道くだるバスで
もうすぐきっと ラストシーン
ひとすじの涙が こぼれた
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