天国電話

ご飯を残しちまうのは あなたが偏食だから
お金がたまらないわけは あなたが浪費家だから

お風呂が面倒くさいのは 沸かしてくれる人がいないから
家に帰りたくないのはお帰りが聞こえないから

もしもし 僕はダサいし駄目だし馬鹿だし弱いし脆いし痛いし糞だし
あれから10年経ってもなんにもかわりそうもないけれど
近所にコンビニができてビデオ屋ができて駅前のクレープ屋はいつも人だかり
でもなにか足りないと思うのは きっとあなたがいないから

物持ちが悪すぎるのは あなたがすぐにくれるから
朝になるのが嫌なのは あなたが星が好きだから

誕生日に大好きな白い花束買ったけど
たぶんね、すぐに枯らしてしまう

もしもし 僕の顔もね足もね腕もね不器用な手もね悪い頭もね
なんだか今夜は愛しく思えるさびしくないと思える
一緒に星を数えたガソリンスタンドの裏のゴミ置き場はビルになったよ
でもなにもかわらぬものがある きっとこの胸の中には
ずっとあなたがいるのでしょう
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